「日本三大怨霊」のひとりとされる、平安時代中期の関東の豪族・平将門。
非常に強い怨念を持っているとされ人々から恐れられている一方、親分肌気質で豪傑、それでいながら優しさも強さもあり、現代においても大変人気がある武将です。
現在も大手町にある将門の首塚にはパワースポットとして多くの人が訪れています。
平将門の伝説
関東で勢力を伸ばし庶民からも慕われた平将門

桓武天皇の血筋である平将門は関東で生まれ、16歳で京都へ上京し藤原忠平に仕えます。
朝廷内で実力を認められながらも出世できず、父・良持が亡くなったタイミングで帰郷。
この時将門は28歳でした。
そこから一族の親族間争いが勃発します。
伯父の平国香が亡き父が遺した土地を奪っていたためです。
将門は国香とその舅・源護(みなもとのまもる)に打ち勝ちます。
その後、報復戦を良兼と良正らに仕掛けられますが、こちらも将門が勝利。
勢いをつけた将門軍は、地元の民衆たちから頼まれ、武蔵と常陸間の粉争に入り仲裁しようとしますが、戦へと発展。
関東一圓・8か所の国府を制し、「新皇」を自称し東国を栄えさせようとしますが、京都の朝廷から敵とみなされ討伐されてしまいます。
その後、長らく関西にあった都が関東に移ることになった鎌倉時代へつながる時代の流れは、この平将門の働きが大きかったとも言われます。

歌川国芳「相馬の古内裏」に描かれていることで有名
京都の三条大橋でさらし首にされるも・・
討ち取られた将門の体は没地である現在の茨城県に埋葬されました。
そして首は大勢の人で賑わう京都の三条大橋でさらし首にされました。
将門の生首は3カ月経っても腐ることがないばかりか、大きく目を見開き、
「躰(からだ)つけて一戦させん。
俺の胴はどこだ」
と夜な夜な叫び続けたといいます。

そして将門の首は胴体を求めて東国めがけて飛んで行き、途中で力尽き現在の東京都千代田で落ちた、という伝説が残っています。
さらし首にされたのは七条大橋だったという説もあるぞ
どちらにしても京都の大橋でさらされたことは確かだな
決して取り壊せない・千代田区大手町の将門塚
三条大橋から飛んだ将門の首が落ちた先は現在の東京都千代田大手町でした。
ここに将門の怨念を鎮めるための首塚が建てられます。
この首塚は何度か取り壊しの危機を迎えますが、その度に不幸な事故が続きます。
将門の祟りによるものと信じられ、現在でも畏怖の念をあつめています。
将門の怨念①大蔵省庁舎再建で多くの死者がでる
関東大震災後、大蔵省庁舎の再建の際に将門の首塚を壊して仮庁舎を建てたところ、その後2年間で大蔵大臣・早速整爾を含む関係者14名が亡くなりました。
ほかにもたくさんのけが人や病人が続出、将門の怨念を恐れた人々は怨霊を鎮めるために毎年慰霊祭を行うようになりました。
ところが第二次世界大戦による影響で慰霊祭はしだいにおざなりに・・
ある大嵐の夜、航空局に落雷し大蔵省庁舎にも延焼、庁舎は焼失しました。
将門の怨念②首塚付近で事故・怪我人多発
戦後、GHQによる区画整理の最中、突然重機が横転。
投げ出された運転手が亡くなりました。
それ以前にもその場所で怪我人が多く出ていたため、調査したところ半分埋もれた首塚が発見されました。
それが将門の首塚と判明し、付近の区画整理は見直されました。
将門の怨念③日本長期信用銀行の行員が次々に病気に
将門塚の周りの土地はごく一部を残して国により売却。
首塚付近に日本長期信用銀行が建てられましたが、塚に面したオフィスの銀行員が次々と病気を患いました。
その後日本長期信用銀行は経営破綻となります。
そんな出来事が重なり、将門没後1000年以上経過しても首塚の取り壊しはおろか、付近のオフィスビルは現在も首塚にお尻を向けないようなレイアウトにされているのです。

近隣の企業の参加により「史蹟将門塚保存会」が設立され、現在も大切に管理されています。
将門塚は2021年4月に改修が終了しました。
オフィス街の雰囲気、時代に合わせて近代的なイメージになりましたね。
将門の念は強大な力をも持つとされ、パワースポットとして毎日たくさんの人が訪れています。
また、将門は神田明神にも祀られています。
皇族と対立した将門は祭神から一度外されますが、のちに復帰されました。
この経緯から出世のご利益があるとされ、神田明神にもたくさんのビジネスマンなどが訪れる、将門ゆかりの地となっています。
京都にも将門ゆかりの祠があります
将門の首は千代田区以外の地にも落ちたという説もあり、その怨念の強さや人気ぶりもあってか全国各地の祠や寺院に祀られています。
京都にも下京区にある京都神田明神という祠があります。
浄土教の僧・空也が祟りを鎮めるよう将門の首を祀って厚く供養するために建てた祠とされています。
四条駅からほど近い京都神田明神。
観光の際はぜひ立ち寄り、将門のパワーを感じてみてください!
